今回も、前回に引き続き痛みの伝わり方パート3として、痛みの道路を詳しく解説したいと思います。
痛みの伝わり方の前に…
まずは、痛みの道路を詳しく解説する上で、知ってて欲しい身体の名称についてお話してきます。
痛みを感じる最終地点は、度々お話した“脳”であることは間違いありません。
そして、私たちが持ってる感覚や運動など、全ての情報を管理する場所であり、身体の中枢とも呼ばれます。
沢山の情報を処理する脳には、その分、沢山の名称があります。その中にもそれぞれに役割があり、その役割は未だ解明されていないことだらけです。
脳の名称
脳には、多きく別けて大脳と脳幹、小脳と呼ばれる場所があります。
大脳は、“大”と付くだけあって、脳の一番大きい場所を言います。皆さんが脳と聞いてイメージする形も、おそらくこの大脳になると思います。
この大脳の中心部から脊髄へつながる間を脳幹と呼びます。
脳幹は大脳と違い、小さく感じるかと思いますが、実はとても大切な場所になっています。
今回、脳幹について詳しく話すとややこしくなるので、またの機会に書かせていただきます。
大脳と脳幹の名称
大脳と脳幹は更にいくつかの分類に分かれます。
まとめてみると…
大脳 | 脳幹 | 小脳 |
---|---|---|
前頭葉 | 中脳 | 小脳 |
頭頂葉 | 橋 | |
後頭葉 | 延髄 | |
側頭葉 |
痛みに関わるところで言うと、大脳では前頭葉と頭頂葉、脳幹では中脳、橋、延髄にあたります。
脊髄について
痛みは脊髄を伝わって脳に情報が伝わりますが…
この脊髄には、
- Aδ線維
- C線維
の2つがあります。
2つの道路は、痛みの速さと質に違いがあります。
例えるなら、
- Aδ線維 →高速道路=速い
- C線維 →一般道=遅い
の様なものです。
進むスピードも違ければ、向かう方向は同じでも、到着地点は若干の違いがあります。
すこしマニアックな話しになりますが、このAδ線維とC線維には
- Aδ線維 →高速道路=速い →一次性疼痛
- C線維 →一般道=遅い →二次性疼痛
と呼ばれる痛みの名前があります。
一次性疼痛はケガをしたら真っ先に脳へ痛みを伝える役割がある反面、二次性疼痛にはケガしてしまった後、徐々に痛みが増える感情的な痛みの役割があります。
つまり、
- 一次性疼痛 →感覚的
- 二次性疼痛 →感情的
感覚的とは、指を針で刺してしまった時、瞬時に感じる感覚のことで…
感情的とは、その後徐々に痛みが増してくる感覚を言います。
長引く痛みは、C線維の二次性疼痛による感情的な痛みであることが多いです。
問診をさせていただく際に、
痛めたその時は大丈夫だったけど、徐々に痛くなってきたんだよね…
とお聞きすることが多くあります。
まさに、このC線維を使って脳へ痛みを伝えていると考えられます。
脳と脊髄のつながり
脳と脊髄には間をつなぐ脳幹があるというのはお話させていただきました。
この脳幹に関与しながら脳へつながるは、実はC線維である二次性疼痛になります。
またこれらが脳へつながるには必ず視床という場所も通る必要があります。
そして頭頂葉につながるのが一次性疼痛、前頭葉につながるのが二次性疼痛となります。
話はそれますが、認知症で感情の起伏が大きくなってしまう人の中には、この前頭葉の萎縮が多くみられるそうです。
と、ここまでが痛みの伝わり方パート3の内容になります。
脳の解剖から、どのように脊髄とつながっているのか細かく見てみました。
次回からは、痛みを感じた後、脳ではどの様に痛みに対応するのかひも解いてみたいと思います。